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糖質制限ダイエットのデメリットとされるもの【本当と嘘と対処法】

糖質制限ダイエットは、体重減少効果や健康への寄与などで大きなメリットがある反面、デメリットも大きいとされる事があります。

物事には良い面と悪い面があるのは当然ですから、デメリットが全くないと言う事はないでしょう。しかし、そのデメリットが得られるメリットを上回るようであれば、糖質制限ダイエットを実践する事を躊躇してしまいますよね。

糖質制限のデメリットとは具体的にどんなことなのか、それは本当なのか嘘なのか、その対処法について解説します。

栄養バランスが崩れやすい

糖質制限ダイエットによって栄養バランスが崩れやすいという主張は、正確ではありません。

糖質制限ダイエットとは、糖質(炭水化物)の摂取量を制限しようとするものですから、糖質以外の摂取量については何の決まりもありません。そして糖質については、食品から摂取する事が不可欠であるとされる必須糖質のようなものはありませんので、糖質の摂取量が少ない事自体はなんら問題のない事です。

ただし、例えば高糖質な食品と共にビタミンなどを摂取する事が多い人の場合、糖質の高い食品を避けた結果として、特定のビタミンが不足する可能性はあります。しかし、高糖質な食品からしか摂取できないビタミンというものは基本的には存在していませんので、野菜や低糖質な果実などから十分なビタミンを摂取する事はできます。

栄養バランスについては、糖質制限をするかしないかに関わらず、様々な栄養素を摂取する意識付けをする事が大切です。

エネルギー不足になる

糖質制限ダイエットによってエネルギー不足になるという話は、誤解を招く説明と言わざるを得ません。糖質制限ダイエットでエネルギー不足になることなく、健康的にダイエットを実践するために必要な事をいくつか説明します。

まず糖質制限ダイエットでは、炭水化物の摂取を制限するため、体のエネルギー源として脂肪を主に利用します。脂肪は体内で効率的にエネルギーに変換されるため、十分な脂肪摂取があれば、エネルギー不足になることはありません。

糖質を摂取している場合には、糖質から得られるブドウ糖を主なエネルギー源として活用していますが、同時に脂肪を主なエネルギー源とするケトン回路によるエネルギー生成も常時行われています。むしろ生命維持の根幹を成すような部分については、糖質を多量に接種している人であっても、実際には脂肪をエネルギー源として生命維持が行われている事が分かっています。

ですので、一般的に認識されているようにブドウ糖が人間のエネルギー源として主たるものとして活用されているかと言えば、実際にはそうとも言えないのが本当の所です。

また、人間の体には糖新生とよばれる機能がそなわっており、体内でブドウ糖を生成する事ができます。ですから、赤血球のようなブドウ糖しかエネルギー源として活用できない限られた細胞に対しても、糖質を摂取することなく適切にブドウ糖を届ける事ができるようになっています。

糖質制限を行った結果としてエネルギー不足に陥ってしまう人は、単純にタンパク質や脂質の摂取量が少ない可能性が高いと言えます。

糖質制限とは、糖質の摂取を制限するだけではなく、糖質の摂取を制限した分をタンパク質や脂質で補う事が重要です。この点を疎かにしてしまったとすれば、エネルギー不足になるのも当然でしょう。

筋肉量が落ちる

比較的多い誤解として、糖質制限を行うと筋肉を分解してエネルギー源としてしまうため、筋肉がやせ細ってしまうというものがあります。

これは全くの誤解です。

これは糖新生で使われるタンパク質を筋肉を分解する事によって調達してくるという認識から生じている誤解ですが、そういった事が生じるとすれば、それはまさに飢餓状態においての事です。

糖質制限ダイエットでは、糖質の摂取を制限する代わりにタンパク質を多く摂取します。ですので、一般的な食生活をしている方よりも、糖質制限ダイエットを実践している人のほうが相対的に多くのタンパク質を摂取しているのが普通です。そういった状況であれば、糖新生に使われるタンパク質が足りないせいで筋肉が分解されるような事は現実的には起こり得ません。

もし筋肉量が落ちる事があるとすれば、それは単純にタンパク質の摂取量不足ですので、必要十分なタンパク質を摂取するべきでしょう。

継続できない

糖質制限ダイエットは、長期的に継続する事が困難であると主張する人もいます。

これは実践してみれば分かる事ですが、そのような事は全くありません。

我々は自然と、糖質(炭水化物)を多量に摂取する食生活を前提に、物事を考えてしまうようになっています。その前提に立てば、普段食べている主食とされるものを制限する食生活は、非常に窮屈で精神的なストレスも大きいように思えるでしょう。しかし、実際の感想は大きく異なります。

他のダイエット食事法と比較すると、カロリー制限ダイエットは食事の全体量を減らす必要があるため、食事が好きな人にとっては大きなストレスが掛かります。一方で糖質制限ダイエットであれば、糖質の摂取さえ制限してしまえば、タンパク質や脂質を多く含んだ食事をとる事は問題ありませんから、食事に対する楽しみを十分に満喫できます。

また、運動を増やすことによるダイエット法については、運動嫌いな方にとってはそれ自体が苦痛でしょう。また、運動によって生じた食欲を発散してしまえば、運動によって消費したエネルギーの意義が失われますし、食欲を我慢すれば精神的なストレスとなります。

糖質制限ダイエットは、むしろ他のダイエット手法と比較すれば断然継続しやすいと言う事が、多くの実践者が持っている認識です。

リバウンドする

糖質制限ダイエットはリバウンドしやすいと思っている人は、思いのほか多いようです。

理由としてあげられるものの中には、筋肉量が落ちるから基礎代謝が下がって太りやすい体質になってしまうような説明も散見されますが、これが間違いである事は既に説明したとおりです。適切な量のタンパク質を摂取していれば、糖質制限ダイエットで筋肉量が落ちるような事はありません。

他の理由としては、糖質制限ダイエットに成功して満足のいく体型を手に入れた後、元の食生活にもどしてしまった結果としてリバウンドを経験するようなものもあります。これは当然の話ですが、ダイエット前の食生活に戻したのでは、ダイエット前の体型に戻ろうとしているのと同じことです。元の体型は元の食生活で作られたものであり、ダイエット成功後の体型は糖質制限ダイエットで得られたものですから、食生活を元に戻せば体型も元に戻るのは自明の理です。

むしろ糖質制限ダイエットは、ダイエットに成功した後も糖質制限食を継続する事が容易である事、ダイエットの過程で基礎代謝を落とすような事もない事を踏まえれば、むしろダイエット手法の中で最もリバウンドしづらいとも言えます。

低血糖になる

糖質制限ダイエットを行うと、糖質の摂取量に制限がかかることによって低血糖症になると心配する人もいるようですが、これは一部の例外を除けば全く心配ありません。

血糖値というものは、人体の調整機能によって常に一定レベルを保つようにされています。しかし高糖質な食品を摂取すると、その調整機能の調整幅を超えて血糖値が上昇してしまうことになり、これが糖尿病などの生活習慣病の原因となっています。

高血糖状態に対応するだけではなく、低血糖状態に対応する調整機能も人体には当然備わっており、その備えは高血糖に対する備えよりも圧倒的に充実しています。仮に糖質を摂取しなかったとしても、体内で糖新生によってブドウ糖が生成されますから、糖質の摂取に関わらず血糖値は一定レベルに保たれるのです。

むしろ、低血糖状態になる原因の一つとして、血糖値の上昇がトリガーとなる事が知られています。上昇した血糖値を下げる時に、インスリンが過剰に分泌されたり、あるいは少し遅れて分泌されたりした場合に、適正な血糖値を下に突き抜けて低血糖状態になってしまう事があるのです。これを機能性低血糖症と言います。

機能性低血糖症を生じさせないためには、血糖値の乱高下を防止するために糖質制限を実践する事が有効です。つまり、糖質制限は低血糖になるどころか、低血糖を防ぐために有効な食事法とも言えるのです。

ちなみに最初に触れた一部の例外とは、糖尿病の薬を服用している人や、インスリン注射を打っている人などです。そういった場合は意図せずに低血糖状態になりやすくなるケースもありますので注意が必要です。人為的に血糖値を下げる治療を行っている場合は、医師と相談しながら糖質制限を実践するようにご注意ください。

便秘になる

糖質制限ダイエットを実践すると、食物繊維の摂取が減ることで便秘になりやすいという懸念もあるようです。これも誤解に基づいた認識です。

糖質制限ダイエットでは、食物繊維の摂取は制限しません。それにも関わらずこういった誤解が生じている理由の一つは、糖質を炭水化物に置き換えた表現で「低炭水化物ダイエット」といった名称が存在する事にあります。

炭水化物とは、糖質と食物繊維をまとめた概念ですから、低炭水化物と表現すると、食物繊維まで減らすような印象になってしまいます。しかし実際のところは、低炭水化物ダイエットというものも実態としては糖質の摂取のみを抑制するものであって、食物繊維まで摂取しないようにするものではありません。ですから、低炭水化物ダイエットにしろ、糖質制限ダイエットにしろ、食物繊維の摂取を抑制するものではない以上、便秘になりやすいというような事は全くありません。

むしろ糖質制限ダイエットにおいては、低糖質な野菜などの摂取は推奨されており、食物繊維の摂取はどちらかと言えば増える可能性の方が高いと言えます。そういった意味では、糖質制限ダイエットは便秘になりやすいと言うよりも、むしろ便秘を予防する効果が高いとも言えるでしょう。

会食で困る

糖質制限ダイエットを実践していて生じるデメリットとして、最も現実に則しているのはこの要素でしょう。自分自身だけの食生活を考えると食事の融通はつくものですが、これが家族や友人、会社の飲み会などとなれば話は別です。こういった状況では、糖質制限ダイエットを実践している事をデメリットとして認識する事も現実的に有り得る事でしょう。

対処法は主に三つです。

一つ目は、その場に合わせて、その時だけは糖質制限ダイエットの事を頭の片隅へ追いやる事。とくに頻度の高くない会食であれば、その時ぐらいは糖質量の事は大目に見て、糖質制限ダイエットの事はあまり考えない様にするのが得策でしょう。

二つ目は、可能な範囲で低糖質な選択をする事。自分が望むような糖質制限食には出来なかったとしても、出来るだけ糖質量の少なそうなメニューを選択するなど、次善の策を意識して立ち回る事が大切です。例えば居酒屋での飲み会などであれば、意外と低糖質なメニューが多いため、その場の空気に合わせながら糖質制限を実践する事もそれほど難しくありません。お酒についても、蒸留酒を選択すれば問題ありません。

最後に三つ目ですが、どうにか一緒に食事をする相手を説得して糖質制限を実践できる環境を作りましょう。これは主に家族内の話になりますが、毎日同じ食事を食べる間柄であれば、常時周りに合わせていたのでは糖質制限ダイエットを実践できません。主食を抜くことは比較的簡単な交渉になるでしょうが、おかず類についても低糖質な献立にする事をお願いしてみるなどの行動が必要になります。

恐らく現実的なハードルとして最も高いのは、やはり三番目の問題でしょう。

単身者であれば気楽に始めることの出来る糖質制限ダイエットですが、家族と寝食を共にしている方については、同居の家族からの理解が無ければ実践が難しいのは事実です。

「糖質制限ダイエットのデメリットとされるもの」まとめ

糖質制限ダイエットには、栄養バランスの崩れ、エネルギー不足、筋肉量の減少、継続困難性、リバウンド、低血糖などのデメリットが指摘されていますが、これらの認識には誤解が多く、多くの場合で適切な対策を取れば問題になりません。

栄養バランスの崩れについては、糖質制限ダイエット自体は栄養バランスを崩しませんが、ビタミン不足の可能性があるため、野菜や低糖質な果物からビタミンを摂取する必要はあります。

エネルギー不足については、糖質の摂取量を減らした分、タンパク質と脂質を十分に摂取していれば、エネルギー不足で困るような事にはなりません。

筋肉量の減少については、糖質制限ダイエットではタンパク質を多く摂取するため、筋肉分解による減少は起こりにくいのが実際の所です。もちろん、そのためには適切なタンパク質摂取が重要となりますので、その点はご注意ください。

継続困難性については、糖質制限ダイエットは他のダイエット法よりもむしろ継続しやすいというのが実践者が一般的に感じている印象です。日々の食事を楽しみながら、必ずしも運動をする必要もない気楽さが、糖質制限ダイエットの大きな魅力です。

リバウンドについては、ダイエット前の食生活に戻った場合、体型もダイエット前に戻る事は当然と言えば当然です。糖質制限食は単なる体重減少を目的とした特殊な食事法ではなく、長く継続するべき総合的な健康食ですので、継続することが何よりも大切です。

低血糖については、血糖値は体の調整機能によって一定レベルを保つため、一部の例外を除けば低血糖の心配はありません。むしろ血糖値の乱高下によって生じる低血糖症を発症させないためには、糖質制限食が非常に有効です。

以上のように、一般的に言われている糖質制限ダイエットのデメリットは、適切な知識と対策を持つことで十分に対処可能です。

今回扱った話題の中で、最も現実的なデメリットとしては、家族などとの兼ね合いについてでしょう。まずは自分の希望を家族に伝え、ある程度の妥協はしつつ、出来るだけ低糖質な食事をできるように交渉してみましょう。出来る事なら毎日のように食事を共にする相手であれば、一緒に糖質制限を実践するのが理想です。是非身近な人も誘って、一緒に糖質制限ダイエットを実践してみましょう。